NEC系産廃会社「シンシア」(中西雄三会長)が今年1月に、落札した横浜市有地(金沢区、35000㎡)。その入札過程が実に不透明なものであったことは既に報じた。
これまで本誌は、今回の入札が「シンシアに市有地を実質上払い下げるための〝儀式〟に過ぎなかったのではないか」との疑念を呈してきたが、それを新たに裏付ける資料を入手した。入札が行われる約1年前から「産廃施設のプラン」は横浜市側との間で出来ていたのだ。
04年1月16日、「横浜金沢産業連絡協議会」(以下、連絡協)の理事会が開かれ、「横浜市金沢産業団地発 エネルギーセンター構想」「熱電供給普及促進事業(案)」という計画がまとめられている。この連絡協とは、金沢産業団地内の企業によって構成されている協議会で、まさに同団地内に今回売却された市有地があった。
上記構想によれば、横浜市が市有地を売却するなどの支援を前提に、産業廃棄物処理事業やリサイクル事業を行い、その過程で排出されるメタンガスなどをエネルギー化することで熱電供給普及促進事業を展開する、などとされていた。事業体としては、金沢団地内の企業と、横浜市環境事業協同組合(金沢区の産廃業者12社で構成。以下、環境組合)が出資すると確認されていた。
ある地元関係者が次のようにいう。
「横浜市では、かなり以前から中小産廃業者による野焼きなどが問題となっていた。そのため、老朽化した産廃施設を大きなものに集約したい、という横浜市側の意向があった。それに沿う形で、03年頃から連絡協に入っている某企業が中心となって、金沢団地内の候補地を幾つか物色。市有地の売却についても横浜市側に打診をしていた。この市有地は、舗装材再利用プラントとして使われていたが、事業としては赤字続きで、横浜市も売却を検討していたため、両者の利害が一致したのです」
この当初構想では、シンシアの名前はなかった。しかし、「いつの間にか、シンシアが事業体に入り込んでいた。環境組合のボス的存在である産廃業者が強引に推した結果だ」(前出関係者)という。
そして今回新たに入手したのが、上記の資料(=写真)である。04年4月28日付けの「金沢産業団地熱電供給事業」と題される「庁内会議資料」で、環境保全局大気騒音課が出したものだ。同資料によれば、環境組合、三菱重工、シンシアなどが「5月にも新会社」を設立するとある。また、建設場所も「金沢産業団地内 約3万㎡」と明確に記載されていた。そのほか、環境アセスなどのスケジュール、施設規模、事業収支など具体的な数字も掲げられている。ちなみに事業費は、プラント建設費125億5000万円、用地費40億円などとなっている。
大気騒音課は次のようにいう。
「ご指摘の資料は、土地売却の申し出があったため、事業者の方からヒヤリングしたペーパーです。環境保全局のほか、資源循環局、財政局、道路局など関係部局の課長が集まった4月28日の庁内会議に提出しました。その後、関係部局で検討を進めた結果、中田市長の決済をいただき、環境保全局が市有地売却を行うことになったのです」
このように、横浜市側は昨年4月段階で、シンシアが進めようとしている事業全体を把握していた。4月28日の「庁内会議」をきっかけに、同社などから申し出のあった市有地売却へと進んでいくのである。
さらに、6月22日には、連絡協などが構成員となっている「横浜市工業会連合会」が中田市長に対して、「環境関連事業に対する支援について」という要望書を提出。その中には、「廃棄物の効率的な処理や、エネルギー資源確保の効率化を促進するため、関係団体や企業の取組む廃棄物処理等の環境関連事業に対して特段のご支援を講じられるよう要望いたします」とある。これがシンシアへの〝援護射撃〟であることは明らかであろう。
この要望書が提出された1カ月後の7月28日に「横浜金沢シンシア」が設立されている。資本金1億円のうち、シンシアが8000万円、三菱重工と環境組合が各1000万円を出資。「横浜金沢シンシア」の所在地は、横浜市の外郭団体「横浜産業振興公社」が運営する金沢産業振興センターと同じ場所という念の入れようである。
こうした一連の経緯を踏まえれば今回の入札が、横浜市側とシンシアの〝協議〟の上で行われたことは、もはや明らかであろう。
(取材・文 奥村順一)