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2019年8月25日 (日)

【シリーズ】エフアール「鈴木義彦」  西義輝が残した「遺書」を一部公開(3)

201908101449420001_20190824223501 その他の西義輝の「遺書」を公開する。

(「社長」宛)
「社長、大変お世話になりました。心から感謝申し上げます。私の様な人間を今まで全面的に信頼をしていただき、沢山の資金を出していただき、本当に有難うございました。(略)
私は二十三年前に初めて社長にお目にかかったおり、自分の人生でそれまで誰よりもすごいオーラとカリスマ的な存在感を感じました。絶対に大事にしなければいけない方だと思いました。お会いした後、社長に大きなチャンスや沢山の協力を与えていただきながら、私の片寄った生き方、考え方から、いつもつじつま合わせや自分流の考え方ばかり主張して押し通してしまい、社長の人生を台無しにしてしまいました。社長は考え方が大変まじめな方でいらっしゃいますのに、私は余りにもけじめのない事ばかりして、とりかえしのつかない大きな失敗ばかりしてしまったと思います。
今まで、社長に資金を依頼して一度もことわられた事はなく、人から借りてでも私にだけは、必ず用立てて下さいました。私は、そこまでして用意してくださった多額のお金を投資に回して、成功できる事が沢山あったにもかかわらず、詰めの甘さや人を信じすぎて、最後にいつも大きな失敗をしたり、人を見る目がないために裏切られてばかりで、本当に申し訳ありませんでした。社長が毎日苦しんでおられる姿を見る度に、私は本当に辛くて、極力冷静にふるまうようにしておりましたが、自分の力不足な事ばかりで、本当に申し訳なく思っております。内心では、社長に対して自分でできる事があれば、何でもしようと心がけてはおりました。しかし、それでも、社長に安心感を与えるまでの事は何一つできませんでした。私が行った数々の失敗について、何一つ言い訳ができる事ではありません。」

「私に一命を絶つ事で許される事は一つもありません。お借りしたり、投資をしていただいたお金につきましても、天文学的な数字ですし、誰以上に社長が私を信用してくださった事、(略)私はすべて解っておりましたが、それも自分勝手な理解でしか過ぎなかった事です。死をもってつぐなう事など何にも社長の役に立つ事ではない事も分かっております。しかし、あらゆる事がうまくいかない状況では、けじめをつけるしか他に道がないのです。社長を残して先に死んで行く事にしても、ただただ、自分に逃げているだけで、本当に無責任な事です。大好きな社長の側に、少しでも長くいて、力になれる事があれば、どんな努力でもするつもりでおりましたが、今回は、自分の頭でどのように考えても、生きていく方法を見つける事ができませんでした。
私は本当に大バカものです。いつも、いつも社長に期待ばかりさせて、失敗ばかりしている。色々な事を、自分の中で最大限こなそうと努力だけはしても、いつも相手の方が一枚も二枚も上手で、最後にやられてばかりです。多額の資金の運用をしたり、まかせられたり、管理できるようになっても、後一歩のところで自分のやり方が悪いのか、引きずってきている過去が悪いのか、運に見放されているのか、本当に悔しいです。
 私は、社長のお力に一番ならなければいけない立場なのに、チャンスが沢山あったにもかかわらず、いつも見すかされていて、それすら気づいていない。いつも、今度はかならず成功すると頑張り、結果を出せない自分がおり、この先、どんな努力をしても、あらゆる信用を失ってしまった現況では、もう、どうする事もできません。(略)どんな言い訳も説得もできない事を、自分が自分にしてしまいました。社長に対しても、本当に御迷惑ばかりおかけして、何一つお役に立つ事ができませんでした。どうか、どうか、お許しください。大好きな社長の思い出だけを頭にうかべながら、一命を絶ちます。本当に二十三年間の長い間、大事にしていただき、命と引きかえに御恩礼(ママ)申し上げます。
 もう一つ、お願いがあります。手紙にて内河陽一郎氏(注:前妻の長男)にユニバーサルデータに届く私宛の手紙、郵便物などを社長にお渡しし、相談に乗ってもらうよう、頼んでおりますので、その節はくれぐれもよろしくお願いを申し上げます。
 社長様のご健康、ご発展をお祈り申し上げます」

文中に「お借りしたり、投資をしていただいたお金につきましても、天文学的な数字です」とあるが、この天文学的な数字は、総額323億円に達しており、そのうち207億円が西と鈴木の仕手戦に投じられた総額だった。もちろん、全てが自己資金というわけではなく、友人や知人等から借り受けて用立てた分が過半数を占めているという。

また、「色々な事を、自分の中で最大限こなそうと努力だけはしても、いつも相手の方が一枚も二枚も上手で、最後にやられてばかりです」とあるが、ここで言う「相手」とは恐らく鈴木が一番メインになっていた。西は鈴木が「合意書」や隠匿した利益金の存在を認め、約束を履行することを強く迫り、その成果が得られなかったとき、社長には繰り返し「命を懸ける」とつぶやき、そのたびに社長に叱責された。しかし、そのやり取りも虚しく終わりを告げた。西が「合意書」に係る鈴木との関わりや株取引の詳細を明示する“生き証人”であったことを考えると、社長にとって最大に悔やまれる出来事になったに違いないし、鈴木は許されざる人間という思いが一層深まったに違いないと思われる。

ちなみに、社長は西が自殺した後、西の妻と子息を伴って鈴木の実父の自宅を訪ねた。西は鈴木に頼まれ、実父を会社で雇用していた経緯があったからだ。妻は西の遺影を持参したそうだが、西を自殺に追い込んだ最大の原因を作ったのが鈴木である、という認識は西の妻にも同じくあり、鈴木の実父にも面識があったから、実父が西の自殺をどのように受け止めているか、それを確かめずにはおれなかったという。

鈴木が所在を不明にしている限り真相は何もはっきりしない、ということもあり、社長と西の妻と子息、そして鈴木の実父と鈴木の妹が同道して最寄の警察署に出向き、警察署を介して鈴木の妹が電話を架けると、鈴木は電話に出たが、言を左右にして「今は警察署には行けない」と言って拒み、「明日以降で必ず社長に電話をするから」と言ったにもかかわらず、一度も電話をしてくることは無かった。

鈴木は平成18年10月16日と23日の社長との面談内容を反故にした揚げ句、「和解書」は強迫されて書かされた、と主張するようになったが、そうであるならば、こうした警察署での面談など、鈴木にとって絶好の機会であったはずである。それを鈴木自身が拒否したことで、自らの悪事を認めているに等しい。

(青田光市宛)
西は鈴木の友人である青田光市にも宛てて書面を残した。
「貴殿は今回、鈴木氏の件について、色々とアドバイスや協力をしてきた様だが、事の重大さを認識しないで無責任な発言が多すぎたようだ。私のホンコンの件についても、私がホンコンに行っていないとか、そのような事件がなかったとか、社長の会社のエレベーターを止めて鈴木氏を監禁したとか事実でない事ばかりを想像で何事も言っているが、エレベーターを止める事も出来ないし、ホンコンについても犯人は確定していないが、事件があった事も確かだ」(略)
「貴殿は今まで黙って状況を見ている社長の本当の姿を、何にも解っていない。鈴木氏より依頼され、身の回り(周り?)の事、運転手の手配やマンションの手配、鈴木氏のダミー的な事、その他あらゆる事を報酬と引き換えに色々とやっている様だが、貴殿の事についてもほとんどの事が調査済みである。鈴木氏の今後の行動や解決の方法によっては、貴殿の立場も大変な事になるような気がする」
 などと綴っているが、鈴木の“黒子”として暗い所ばかりを歩いてきた青田が鈴木との関係で登場するのは、親和銀行事件(鈴木宛の書面参照)や利岡正章襲撃事件(鈴木義彦への公開質問参照)など、いずれもきな臭い事件がらみの場面だった。

(茂庭進宛)
そしてもう一人、茂庭進という人物に宛てた書面もあった。
「貴殿が鈴木氏の海外の口座の管理や資産管理、その手続を一手にやっておられた事は昔、私の事務所の一部屋を使って仕事をしていた時から分かっておりました。私は、鈴木氏が、大変仕事ができる人をスタッフに持ったと内心びっくりしておりました」
と述べているように、鈴木が決して表に顔も名前も出さないようにするために用意した人物である。茂庭は海外業務に精通した元山一證券マンで、そのノウハウは鈴木が仕掛けた仕手戦で用意したオフショアカンパニーの取得を始め、転換社債や第三者割当増資をこれらのペーパーカンパニーが引き受ける際に如何なく発揮されたことが窺える。
西は茂庭が鈴木の実態や仕手戦の真相をどこまで承知して関わっていたのか、について切り込むように「本当の真実を詳しく書いた手紙を一緒に送らせていただきます。(略)社長、私、鈴木氏と交わした合意書に関して、今だ何一つ実行していない鈴木氏を、私は許すことは絶対にできません」と綴り、さらに「茂庭さんもしっかりと事実の確認をしていただき、鈴木氏と一緒に仕事をするのであれば、自分の立場をよくわきまえて、行動することが大事」と忠告している。

(実父・徳太郎宛)
西は鈴木の実父にも書面を残していたが、裏切り行為への悔恨、そして鈴木が一日も早く合意書に基づいて約束を実行するよう、実父も一生懸命に働きかけて欲しいという文言が書き連ねられていた。利岡もまた平成19年当時、所在を不明にした鈴木と接触を図るために実父の自宅に日参していたが、鈴木は頑として応じなかった。
西が茂庭宛に綴った書面の末尾は「最後に残す言葉があるとすれば、鈴木義彦は人間の顔をした犬畜生だ。こんな人間を周りが許すわけがない」で終わっている。(以下次号)

 

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