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2019年8月15日 (木)

【詐欺師列伝】(2) 「山本丈夫」(公開捜索願を兼ねて)

201908141311150001 その男は山本丈夫(=左写真)という。過去には「デマントイドジャパン」という会社で代表取締役を務めた2007年頃に「日本ウラル鉱山」を吸収合併して以後、ロシア資源開発と宝飾品の販売を事業目的にしたが、投資詐欺で警視庁生活経済課に元社長が逮捕されたバルチックシステムとの関係が取りざたされた経緯がある。

デマントイドとは石の名前だが、そもそもデマントイド石がレアメタルではなく、「金融商品取引法につきましては、株式会社JSKパートナーズを通じて、金融庁関東財務局へ第二種金融商品取引法の届け出を提出済み」と会社案内に記した文章について、「届出を提出しただけでは投資勧誘はできない。受理されれば登録番号が発行され、それを掲示しなければならない。ちなみに金融庁の登録業者リスト(PDF)には、デマントイドジャパンという業者は登録されていない。なお、『第二種金融商品取引法』という法律はない。おそらく『第二種金融商品取引業者』の書き間違いだろう」(「ホンネの資産運用セミナー」より)という指摘があった。「同社の株券を担保にします。最低でも10億円以上の評価があります」と言って、山本はある関係者に持ち込んだそうだが、実際には前述の通りで、二束三文の価値しかなかった。

 

山本が持ち歩いた投資話はほぼ全て嘘と言っても過言ではない。本人が持ち歩いたほとんどのプロジェクトは「途中で頓挫した」という結末を迎えている。

例えば、「ロシア宇宙博」。山本本人は「1991年頃から、ロシアの航空宇宙雑誌『アエロスペース』をモスクワと日本で発行する会社を経営していた」といい、「モスクワ郊外にある惑星探査機の製作を請け負う宇宙関連公団の副社長と懇意になり、同公団から実物大の惑星探査機の模型をアジア圏で販売する許可を得た」ことから「惑星探査機模型を販売する展示会を兼ねて『ロシア宇宙博』を企画し、大々的に惑星探査機模型の展示を開始しようと考えた」と語る。山本はある関係者にこの模型一式をプレゼントすると約束して融資を受けながら、模型販売の売上金が振り込まれる予定の銀行の通帳と印鑑を関係者に渡して、「この口座に金がどんどん振り込まれますので、お好きな時に下してください」と言ったが、模型を持って来ることも口座への入金も一切無く、全てが嘘だった。そして、いつの時点でか事業計画は頓挫した。次いで「アエロスペースのつてで、ロシアのソチ市の関係者から『ソチオリンピックのためにホテル建設の発注で耐震建築技術に強い日本の会社を紹介して欲しい』と頼まれ、日本の有力者を紹介したところ、その有力者は東邦グローバルアソシエイツをソチ市に紹介し、同社がホテルの建設プロジェクトを行うことになった」と言う。実際にはホテルというよりもコンドミニアムの形態だったようだが、これについても山本は前出関係者に「最上階の部屋をプレゼントします」と約束しながら、実行されることは無かった。

だが、実際に山本が狙ったのは同社の株価高騰であり、周囲の関係者たちに同社の株を買うよう勧めただけでなく、株価が500円前後まで値上がりしても売らせようとしなかったために同社株を買った関係者の大半が、株価が急落する中で多額の損失を被った。山本は関係者たちを“提灯”にして、自分は売り逃げる算段だったに違いない。山本はある関係者への債務を「株で得た利益で相殺していただけないか」と依頼して大量の株を買わせた上、株価が500円前後になっても売らせなかったため、この関係者はさらに2億円の損失を抱えることになったという。「今、売られると非常にまずい」と言って、当初は1株500円で買い戻すとしていた話が「1株300円ならば問題なく責任を持ちます」と書類まで作成したが、その直後、山本は関係者の前から姿をくらませた。

その他にも「インドの仏像を借金の担保にするということで、東京・品川の倉庫に見に行ったことがあったが、仏像関係が百体くらいあって、山本は『18億円で購入した』と言う。しかし、こちらで鑑定をしてもらうと、3000万円~5000万円程度の評価でしかなかった。しかも、その後、山本に仏像がどうなっているかを尋ねると、『倉庫代の未払いのため取られた』と言い訳をしてうやむやにしてしまった」と関係者は言う。

山本が吹聴した「プロジェクト」では、アフリカのチュニジアでカジノを開設する計画を持ち出していたが、これについては長期間姿をくらませて、関係者と連絡を取らなかった際の“言い訳”にした可能性が高く、実体があるかどうかも不明だった。
「こうした類のウソはいくつもあって、土地や別荘等の不動産、リゾート施設の会員権など多くを担保に持ってくると言いながら、実行されたためしがなく、また実兄がブリジストンに勤めていて、『いずれ社長になることが内定している』と言っていたが、それも嘘だった」

ある被害者は20年以上も前に「ゴルフ場の工事代金」名目で3億円を山本に貸したのが始まりだった。この時は約束通り3ヶ月程度で返済されたため、その後も友好的な関係が続き「多い時には週に3回以上、少なくても周に1回くらいの割合で銀座や赤坂の高級クラブ等で飲食を共にした」という。そうした付き合いの中で、山本はいくつもの事業計画を持ち込んでは被害者から借り入れを行った。「被害者は山本の話を聞いてやり、頼み事は全て聞いてやっていた」と何人もの関係者が口を揃えて言う。

不動産を担保に金融機関から借り入れる際、不動産の価値に応じて融資の上限が決められるが、山本は被害者に「鎌倉カントリークラブの長男である手塚氏より13億円が入金になるので、この金額を上限に貸していただきたい」と言って、借用書1枚で億円単位の金を何回かに分けて借り入れた。ところが、後日、被害者が山本の言う13億円について山本が紹介した弁護士に確認をすると、山本の話とは全く違って嘘だということが判明したため、それまでに貸し付けた金銭について公正証書を作成することになったものの、貸付金の総額は元金のみで7億5000万円余りになっていたという。ただし、これには株式の損失は含まれてはいない。

そして、その後、前述した東邦グローバル株で損失を出させた直後から山本とは一切連絡が取れなくなった。

被害者は2年ほど前に山本に対して貸金の一部請求で1億円の返還を求める訴訟を提起したが、山本は「そのような金は一切借りたことはない」とまで開き直り、揚げ句、被害者を誹謗中傷する陳述を並べ立てて貸金不存在の理由とした。しかし、山本と被害者の関係が20年以上も続く中で、資金面だけでなく飲食代を一度も払ったことなど無い山本の頼み事に、被害者が全面的に応えてきた事実を10人以上の関係者たちが承知していたから、裁判での山本の嘘だらけの主張を見て大変驚いていた。「ここまで嘘をつく人間とは思わなかった。頼み事を全て聞いてもらいながら、謝罪も無い。このような人間は初めて」と怒りを露わにする関係者が全員だった。もちろん、裁判官は山本の主張を認めず、請求金額の支払を命じた。
「山本は過去に北海道で右翼活動をしていたが、詐欺師で有名だった」とか「山本のような男は絶対に許してはいけない」と関係者たちは口を揃えるが、山本は未だ所在を不明にしたままで、被害者に謝罪する気配さえ見せていない。

ちなみに、以前、被害者の友人が山本の行方を探したところ「公文書偽造の容疑で愛宕署に逮捕されていた」という情報を数年前に聞かされたという。また金融機関においても山本はブラックリストに名前が乗っているというが、「山本が逃げ隠れしても見つけるまで探す」と関係者たちの意思は固い。(以下次号)

 

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