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2017年8月18日 (金)

【新連載】「田中角栄」再検証(5) 自民党から失われた戦後保守政治の「良識」、 金としがらみの〝角栄流〟弁証法

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エピソード2 金としがらみの〝角栄流〟弁証法

前回は、牛馬の売り買いする馬喰(ばくろう)という安定した収入を得られない父親の下に育ち、それがために父親がこさえた借金の無心で親戚の近藤家に幼い角栄が行かされたことで、後の角栄の金銭感覚が培われた可能性(「貸した金は返ってこないものとする」、「金の切れ目は縁の切れ目」とでもいったもの)について触れた。

ここで角栄が借金の無心に行ったのが親戚筋で材木商を営む「近藤」という家だったが、この近藤家との桎梏、地縁的な縛りに対して金があれば自由になれること、そしてそこから得られる自由と権力があって、事実、すべてがガラガラポンとなった戦後社会では、なおさらちゃぶ台をひっくり返して己の論理だけで生きていけることに角栄は気付き、ゆえに角栄は政治家になり、権力を得ることにもなる。

では、近藤家という地縁をめぐる角栄の桎梏の続きにはどんなことがあったか。

角栄は小学校卒業後1934年、16才で東京に上京し、37年に19才で建築事務所を設立して独立する。それから38年に騎兵で甲種合格し、21才で満州に送られる。角栄が配属された騎兵24連隊からはノモンハン事件に多くの兵士が派兵されたが(前線に送られた古参兵はほとんど死滅)、若い角栄は死地に送られることなく、無事に帰国した。

そして帰国後の41年(23才の時)、事務所があった東京・飯田橋で建築事務所を再開することになるが、これが、角栄の本妻・坂本はなの実家である坂本建設の空き事務所だった。その頃、坂本組ははなの父親が亡くなっていて、建設会社の実態は失っており、物件の店子も探していて角栄の設計事務所も入ったという。これが角栄には天祐のごときものだった。

当時、建設業者は材木統制法や企業許可令があり、42年には企業整備法ができて年間50万円以上の施工実績がない会社は建築業者としては認められない状況にあった。それを婚姻だけで受け継げるのだから、角栄にとってこんなおいしい話はない。だから、角栄ははなとの結婚を真面目に考える。ところが、不合理な地縁もある。

角栄はこの時のことを日経新聞の『私の履歴書』でこう書いている。坂本の店子として事務所を借りて大家のはななどから厚遇を受け、これから世に出ようと言う角栄が嫁さん探しも視野に入れていたであろう記述だ。

「またいとこで当然のように私の嫁になるものと思われた娘」
がいたものの、あれこれ理由をつけて上京してこなかったから坂本はなと結婚しようというのだ。

結局、当たり前のように角栄ははなと結婚する。当時では得られない建設業者という〝ハコ〟を手に入れられるからだ。一方、「あれこれと都合をつけて」上京してこない小市民的な論理とでも言おうか、そういったものに対する角栄のルサンチマンの深さは相当にあったはずである。

「あれこれ言う近藤家はじゃあ、実利的に何か返してくれるのか?」

角栄はそう心の中で思っていたのは間違いない。この段階で角栄の利権政治家などの俗的な評価は間違っていないし、仕方がない。だが、〝俗〟の一言で人を断罪するのは問題かと思う。そこを次回以降、縷々述べていきたいと思う。(本誌・原正吾)

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