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2017年7月21日 (金)

【新連載】「田中角栄」再検証(2) 自民党から失われた戦後保守政治の「良識」

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戦後保守思想の「良識」が、角栄亡き後に政界で旧田中派の陰が薄くなると共に失われていったことについては本連載の第1回目で触れたが、戦後保守思想のなんたるかについては改めて触れることにしたい。ただまずは角栄が、「吉田学校」に連なる「党人派」の政治家として歩んだ軌跡について、ここで確認しておこう。

1946年の総選挙で立候補し一旦は落選するが、翌47年の総選挙で民主党から立候補して当選、29才で政治家となる。48年の第二次吉田内閣で法務政務次官に就任(この年、吉田が率いる自由党が下野して成立した社会党を第1党とする片山哲内閣が進める、石炭産業の国家管理化(「炭鉱国管」)に反対する際に、反対派から運動資金を受け取った疑惑で逮捕されるという、まさに後年の「金権政治」を予感させる事件がおこった)。

そして55年に結成された自民党に加わり、57年には岸内閣の郵政大臣に就任する。39才の大臣就任という最年少記録はいまだ破られていない。もうここからはとんとん拍子だ。41才で副幹事長、43才で政調会長、44才で池田内閣の蔵相、46才で佐藤内閣の蔵相に留任、47才で幹事長に就任する。これも史上最年少だった。

その後、無役に退くが、この間に後の「日本列島改造論」に結実する開発政策を温めつつ、53才で佐藤内閣の通産相に就くと、宮澤喜一、大平正芳の佐藤内閣の通産相が解決できずに佐藤の頭を悩ませていた、「日米繊維交渉」を解決させる。そして54才になった72年、田中派が結成され、福田赳夫とのし烈な「角福戦争」を制して首相にまでのぼりつめる。

自民党員多しといえども、これだけ順調にかつ若年にして政界トップにまでのぼりつめた人物がいるだろうか。しかも、小学校卒で土建屋あがりの叩き上げげだ。・・・と書くと、巷の「角栄神話」を裏書きするだけになってしまうが、角栄がその場その場で仕えてきた(吉田→池田→佐藤の)首相の顔ぶれ、吉田学校のそれを見れば、つねに自民党の中枢にありつづけたことが分かる。とりわけ、首相在任期間7年8カ月の長期政権となった佐藤内閣では、幹事長として5期通算4年7カ月におよんで支え続けた角栄の辣腕ぶりを抜きにしては語れない。

吉田学校ということで言えば、戸川猪佐武の『小説吉田学校』での角栄登場のシーンがふるっている。48年の角栄が法務政務次官に就任する第二次吉田内閣が成立する前、片山内閣の次の芦田内閣を「昭電疑獄」事件がおそった。総辞職した芦田内閣の後の首相を誰にするか。通常であれば民主自由党トップの吉田に回ってくるのが筋だが、GHQが吉田を嫌ったため、幹事長の山崎猛を推す「山崎首班事件」がおきる。そこで党会議で角栄がこう言い放つのだ。

「いくら占領下とはいえ、こんな露骨な内政干渉は許されるのか」

そして党勢が吉田擁立に傾いたというのである。もちろん先の「炭管事件」に始まり、角栄がその前半生で邁進した開発政策による「土建政治」、地元新潟に金を落とす「利益誘導型政治」、個別の選挙や「角福戦争」で多額の札束が宙を舞った「金権選挙」・・・(史上最年少での郵政相就任も金で買ったと言われた)などからその金権政治が政治家・角栄の一面であり、その点は常に批判的に顧みる必要がある。

しかし角栄という政治家を考える時、昨年に石原慎太郎が『天才』を著してから起こった単なる回顧的ブームでもなく(ちなみに、同書の中身はスカスカである)、イコール金権政治家という一般的に流布された角栄像でもない、「実像」を考えてみることが必要だ。そうしないと今回略歴のみで示した政治家・角栄が首相にのぼりつめるまでの「勢い」と、角栄本人の意志に限らない時代や周囲の「理由」については理解できないのだ。例えば中曽根康弘は角栄と同じ大正7年生まれで角栄と同じ選挙に当選して首相にまでのぼりつめた政治家で、もちろん運輸、通産、防衛といった大臣職、総務会長、幹事長の党要職をつとめた人物だが、角栄のそれと比較した場合、その歩みはあまりに間延びして迂遠と言わざるを得ない。その違いはどこにあったのかということだ。
(本誌・原正吾)

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