台湾当局に身柄拘束中の兵頭隆氏が「完全無罪」、有名事件物件「聖蹟桜ヶ丘」で東栄住宅へ反撃開始
「世にも奇怪な」偽造・詐欺事件をでっち上げられ、台湾当局に身柄を拘束(=出国禁止措置)されていた兵頭隆氏。このほど晴れて完全な「無罪判決」が下され、近く帰国するつもりだ、との連絡が本誌に入った(同氏が2011年12月、台北市内で逮捕されたこの事件の詳細は「月刊タイムス」6月号をご覧いただきたい)。
兵頭氏と言えば知る人ぞ知る人物で、東京都多摩市関戸の有名事件物件「聖蹟桜ヶ丘」の所有権をめぐり幾多の民事裁判を重ねてきた。費やした年月はゆうに30年を超えるが、台湾当局による今回の身柄拘束で、言わば中断した格好になっていた。
その空白の1年7カ月を埋めるべく兵頭氏が動き出した。係争相手の「東栄住宅」(東証1部、西野弘社長=写真)に対し、8月2日付で2度目の「内容証明」を送付したという。
東栄住宅など3社を相手取って、兵頭氏が自身への所有権移転登記手続きなどを求めていた裁判(=最高裁で上告棄却、兵頭氏敗訴)で、「関係者の偽証や虚偽にみちた陳述」があったとして、「近日中に刑事告訴の手続きをとる予定」と内容証明は通告している。
さらに注目すべきは、東栄住宅が本件土地を入手する際、佐々野俊彦・前会長は「暴力団と極めて近い立場にあった人物」を介して兵頭氏に和解を求めてきた、などと暴露している点だ。これが事実なら、同社の最高責任者自らが「反社会的手段」を弄していたことになる。周知のように東栄住宅は今年11月、一建設、飯田産業などとの「6社経営統合」を控えており、コンプライアンス上、重大な問題が生じるのは言うまでもない。
今や東栄住宅にとって、「聖蹟桜ヶ丘」は金の卵を産むニワトリどころか、喉に刺さった魚の骨のようなもので、「倒産した三和建設の元オーナーが、(東栄住宅の)合併前にダミー会社を挟んで60数億円で買収する話が進行している」との噂まで流れている。
■「聖蹟桜ヶ丘」で暗躍した原徹らの事件師グループ、今度は福島県の産廃業者「原町共栄クリーン」に介入
本誌でも過去に何度か報じたことのある福島県南相馬市の産廃業者「原町共栄クリーン」。同社が進めていた最終処分場建設は、すでに資金難で工事がストップ。設置許可(=1998年、当時・佐藤栄佐久知事)の取消しを求める行政訴訟も2013年1月、仙台高裁で住民側が勝訴し、ついに「断念」せざるを得ない状況かと思いきや、「完成すれば500億円は下らない収益を生むプロジェクトですよ。だからこそCSK(=11年10月、住商情報システムに吸収合併)も過去に70億円を出す気になった。そう簡単に諦めきれる案件じゃない」(関係者)という。ちなみに、この案件をCSKに持ち込んだのは、田中章雅・元弁護士(=10年10月、最高裁で法人税法違反の有罪確定)とされる。
その「原町共栄クリーン」の経営権をめぐって、元代表取締役・佐藤薫氏と現代表取締役との間で争いがおきているという。ここではその詳細な経緯について触れないが、この7月23日、東京高裁で開かれた控訴審において、上記の兵頭隆氏が「顛末書」を提出。その中で、元代表・佐藤薫氏の背後には、「聖蹟桜ヶ丘」で暗躍した原徹氏ら事件師グループが存在することなどを暴露した。
この原氏は元極東会系暴力団幹部とされる人物。佐藤・原両氏らが「原町共栄クリーン」の経営に介入したことで、新たに暴力団絡みが生じたと見られる。なかでも注目されるのは、工事中断で30億円とされる建設費のうち10億円が鹿島建設からひそかに返却されたが、この10億円の行方が杳としてつかめていない点だ。いま確実に言えるのは、10億円が鹿島から振り込まれた当時、原町共栄クリーンの経営権を握っていたのは佐藤薫氏だったことであるが、場合によっては「事件」になる可能性も出てきた。