本誌が入手した内部資料などから、横浜前社長らが海外秘密口座を利用した詳細な取引履歴も浮かび上がってきた。
左写真は、海外ペーパー会社「サンテブリッジ」の取引を記帳した内部資料で、同社は07年、ユニオンHD株を権利価格160円前後で以下のように購入していた。
第1回 10月25日 100万株
第2回 10月31日 100万株
第3回 11月2日 65万株

一方、売り方の国内ダミー会社である「ヘラルドトレーダーズ」が提出した大量保有報告書(=写真)を見ると、買い方「サンテ社」の取引日付、株数、単価とも一致している。
したがって、海外秘密口座を介したヘラルド社名義の株売却は合計265万で、この点に関しても本誌は関係者への取材で裏付けを取っている。
さらに、このヘラルド社名義の銀行口座(=写真)をご覧いただきたい。ユニオンHD株を売却したことによる、USS証券(ユニオン、オメガ系列、08年2月破産申請)からの入金履歴が記載されているのだ。
第1回 10月30日 約1億6200万円
第2回 11月5日 約1億6100万円
第3回 11月7日 約1億200万円
つまり、横浜前社長側は巨額損失発表直前にユニオンHD株を売却し、合計4億2000万円余りの現金を得ていたことになる(入金の日付は4営業日ほどづれる、平均売却価格は160円前後)。

ここで非常に重要な問題となるのは、この海外オプション取引の保証金などが、グループ会社のオメガプロジェクト・ホールディングスから送金されていた、という事実だ。
入手した「外国送金依頼書兼告知書」(=写真)などによると、07年10月25日から11月28日の間に、合計2億2900万円が8回に分けて、横浜前社長側のサンテブリッジの海外口座に振り込まれていた。
第1回 10月25日 4200万円
第2回 10月31日 4200万円
第3回 11月2日 2600万円
と、合計1億1000万円が送金されているが、日付から見てこの分はヘラルド社名義のユニオンHD株購入の保証金に充てられたと見られる。
ところが、オメガ社からの送金はこれだけで済まなかった。関係者によると、「横浜の要請でホッコク株(ジャスダック)も買うことになり、11月9日に2200万円が送金されている」という。この事実は、取引全体が横浜前社長の個人的なものだったことを強く裏付ける。
さらにオメガ社の送金は続く。ユニオンHDが11月19日に巨額損失を発表し、株価が急落。追証支払のため、3日後の22日に2回、そして同月28日に1回の合計7560万円が振り込まれていた。
「横浜は個人で、取引の一切の責任を負うとの誓約書(=写真)も提出しています。しかし、横浜は個人で負担すべき追証さえもオメガ社に支出させていたのです」(前同)。
当時、横浜前社長はオメガ社の取締役でもあった。周知のように、会社法には取締役の「善管注意義務」(350条)と「忠実義務」(355条)が規定されており、会社の金銭を取締役の個人的な用途に使用してはならないことになっている。
結局、オメガ社が一連の取引で支出した総額2億2900万円は、ユニオンHD株の暴落により回収不能になっている。横浜前社長は、ユニオンHDの巨額損失を事前に知り得る立場におり、当初から返済の見込みがないままオメガ社に支出させていた可能性も高い。したがって、横浜前社長らは、取締役としての任務に背き、オメガ社に損害を与えた「特別背任罪」の疑いが濃厚である、と言わざるを得ない。
一連の取引は、国内では誰が買ったか分からない「海外秘密口座」を巧みに利用することで、証券取引等監視委員会などの眼から逃れる目的もあったと見られる。