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2009年12月14日 (月)

【連載コラム】金融経済評論家 松本弘樹「マネーゲームの罠」

【第18回】会社を私物化する輩(やから)達 

334Matsumoto3 仕手筋の片鱗

昨年の12月も押し迫った頃、小関氏は私を訪ね、いよいよ具体的なファイナンス計画を話してきた。大筋は彼らが既に決めていたことで、東証とも確認は取れている旨を伝えられ、引き受けの一部に加わらないかということであった。そして、私は懇意にしている海外の投資家に声をかけたが、ファイナンスの発表時期と投資家の準備があわず、発表時に名前を加えることは見送りとなった。

その代わり、彼らは自分たちのグループから一部譲渡させるからということで、私は継続的に協力することになった。その間いろいろな情報が私のところに集まってきた。バナーズは投機的な投資で企業業績が悪化したこと、同社の実質的オーナーは箱根筋の小林という人間で兜町ではかなり評判が悪いこと、私がかかわるなら十分注意するように等々、いろいろな助言をいただいたのである。

しかし、同じ反社会勢力に脅かされ、私のところを訪ねてきたという妙な連帯感から、慎重に対処するいつもの姿勢が若干かけていたのも事実だった。私がこの会社を再生することは、これまで自分の著作で主張してきた活動の金字塔になるのではないか、という使命感みたいなものも影響した。

小関氏は何回か面談するうちに、自然と本名の小林を名乗ることとなり、会話もいつかしら小林で進むようになった。ある時、彼は私にファイナンス後の計画を持ちかけてきた。今の時価で株式を発行すると、発行済み株数は4億株になり非常に重くなる。したがって同社を株式併合して発行済み株数を減らし、そのタイミングを狙って吊り上げないか、という話であった。

私は、その旧態依然とした仕手筋の発想、直近で言えば「千年の杜」のパターンであるスキームに否定的だったので、小林氏にそのような時代錯誤的な手法はやめるべきだ、と丁寧に諭した。発行済み株式総数を変更しても、それは心理的なまやかしに過ぎず、実態は何も変わらない。むしろマネ―ゲームを助長するだけで、多くの個人投資家を裏切ることになり、その結果は何も生まれない。それよりも誰もが納得する業績好転の裏づけが必要だ。一般投資家の支持なくして高株価は実現してはならない、と私は自分の持論を1時間ぐらい小林氏に伝えたのだった。

その場で彼は納得し、本格的に会社の建て直しを手伝ってくれ、ということになった。私も、わかってくれたことに感謝をし、その提案を快諾した。この年の12月24日、バナーズのファイナンスは予定通り発表され、私にとっても自分の仕事の集大成となるイベントがスタートしたはずだった。しかし、今思えば、それは私に与えられた「最悪のクリスマスプレゼント」だったのである。

4 苦難の道程
 
新株予約権をうまく使って資金調達し、同時に会社業績の再生も手伝って欲しい。しかし、この依頼は実際のところかなり難航した。私は、懇意にしている投資家、信頼している投資家に助言を求めた。株価2円という絶望的な値段や、過去のバナーズの歩んできた問題点、そして箱根筋小林氏の風評と、資金調達を阻む問題は山積みで、市場の環境も完全にアゲンストだった。

企業を再生するため、私は銀行の借入金に代わる資金調達・返済スキームを考案した。この手法はファイナンスの世界では画期的で、今まで誰も実行したことがなく、バナーズがかかえる諸問題を一気に解決できるものと自負していたが、意外にも会社側はそのプランに理解を示さなかった。
  
むしろ彼らは、株価を上げるために効果的な投資家を私が連れて来ることのみを期待していたようで、私の周りの賢明な投資家たちは当然そのようなリスクの高い投資に応じるわけがなかった。私が自ら描いたスキームを採用する保障があって、初めて私を応援する投資家も前向きに検討するというものであった。

このようないたちごっこが続きながら、私は4人もの投資家を紹介した。しかし結局、バナーズ側と小林氏はその提案を受け入れず、ある時期をもって私との交渉を打ち切ってきたのである(彼らは何らかの急ぐスケジュールがあったと思われる)。

こうして私が提案した事業プランとファイナンススキームは、日の目を浴びることなく没になった。この作業にかかわった数ヶ月は、私自身なんの報酬も得ることなく徒労に終わり、公式に相談役就任予定はキャンセルになった。

その間、起きたことは、私の相談役就任リリースとほとんど同時期に計ったように仕組まれた「バナーズ恐喝事件」の逮捕劇である。後日、私は、市場関係者から松本が仕掛けたのか、といろいろ尋ねられたが、私としても寝耳に水のような話であった。いささかその影響力に困ってしまったのであった。  

また私は、社長はじめ正式に会社側との接触を求めたが、小林氏側の抵抗によって一度も機会すら与えられなかったのである。こうした一連の経緯を後から冷静に振り返れば、窮地に追い込まれた彼らの広告塔として私は利用され、彼らが株価を吊り上げるのに必要な投資家を私から期待できないと見るやいなや、松本はかえって邪魔なので退いてくれ、ということになったと推測される(おそらく他にそのような投資家が見つかったのであろう)。

5  挫折と展望

私が相談役をおりた直後、またもや数字のまやかし、ともいえる準備金の取り崩しによる見せ掛けの「バランスシート改善策」(従来、仕手筋が駆使してきた常套手段)が行われている。それを見て、私ははかり知れない悲しさと寂しさを感じた。

今思えば、事業家でもない一株主に支配され、彼に都合のよい傀儡のスタッフが送り込まれたボロ会社を、理想に燃えてまともに再生しようと考えた私の方が間違っていたのかもしれない。しかし、私は言いたい。
  
上場会社はそれが株式市場という公的な場にある以上、一部の誰かの利害を代表するものであっては決してならない。そして、社員、株主も、その会社が社会に広く認められ、必要とされる存在にならなければならないことを深く認識し、実行すべきなのである。

  
私の実務家としての長い経験上、いつもそのような意識や知識をもたない人間と出くわし、自分の力ではどうにもならない現実に落胆するのである。だからこそ私はジャーナリストとして、実務との利害関係を超えて、このような不条理に対して声を大にして正論を言い続けようと思うのである。
  
今回のバナーズの一件を世間にさらすことは、私にとっても決して愉快なことではない。しかし当局が、ここ数年間でおきた証券業界の不始末を積極的に一掃しようとしているならば、私も合わせて声を上げ、支持しなければなるまい。次回からは先日逮捕されたユニオンホールディングス元社長の横浜氏周辺の事件と、このバナーズとの奇妙なつながりについて解説していこうと思う。

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