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2009年5月20日 (水)

【連載コラム】金融経済評論家 松本弘樹「マネーゲームの罠」

諸事情により長らく中断していましたが、金融経済評論家・松本弘樹氏の連載コラム「マネーゲームの罠」を再開します。なお、過去5回の掲載分についてリンクを貼りましたので、そちらの方もご覧いただければ幸いです。(東京アウトローズ編集部)

【第6回】弱小のファイナンススキームを悪用した輩(やから)たち 外資系証券の功罪(下)

MatsumotoMSCBは投機筋ではなく外資系証券らによって研究され、金儲けの手段に利用されるようになった。しかし、これにはとんでもないデメリットもあった。株価が下がっても行使することが可能なため、額面が変わらない社債においては行使価格が下がれば反対に発行株数は莫大に増える。

たとえば1億円なら100円で100万株発行予定だったのが、25円に修正された途端400万株が発行されるという具合だ。これは既存株主にとって希薄化を意味し、1株あたりの価値を下げることにつながる。さらに企業は株価が安くても行使されるため、経営努力を怠りやすい。人間、目先の出血がとまれば安心するように、このファイナンスを行えば容易に資金ができるため、株主にたいする責任や対策を気にしなくなる。まるで麻薬のように頻繁に手を出したくなるのである。

このスキームの効能を理解することもなく、当時多くの外資系証券は自らの給料を稼ぐために業績のよろしくない企業を積極的に営業にまわった。そして彼らは、株式市場の趨勢などどうでもよく、テレビで報じられるようなセレブで金を浪費することしか頭にない奥さんを養うため日夜悪巧みに徹していたのである。
  
ここでカラクリを説明しよう。外資系の社員は最低でも1億近い年収を稼いでいたそのような彼らは、チーム4、5人で少なくとも50億近い利益を上げなければペイできない。通常の私たちが行っているファイナンスは、手数料がせいぜい総投資額の3%(不動産レベル)。100億円決めても3億円にしかならない。

それでは外資系はなぜ燃えたのか。それは先ほどのスキームをよく見れば容易に理解できる。

現在株価が1000円、当初行使価格1000円で100億円発行。これを外資系が自己ポジション(会社の金)で引き受けたとする。彼らは、発行体のオーナーや大株主から1000万株借株してくる。それを無残にも市場で成り行きで売って暴落させる。市場があわててパニックになればなるほどいい。株価は急落し、いつの間にか300円まで下がったとする。自己ポジで売った平均価格は700円近くであったとして、それが確定したところでMSCBを行使。300円で新株1000万株を発行体から調達する。そして大株主に株を返却することによって、700円で売った金額はまるまる彼らに戻ってくる。300円で行使しているため、その金額を差し引いても40億円の儲け。通常の資金調達なら3億円の手数料にしかならない仕事が、なんと43億円の利益をもたらすことになるのだ。

これがここ数年、当然のようにマーケットで行われてきた事実で、仕手筋や投機筋などより悪質と言える。このディールの最大の被害者は、発行体の既存株主である。わかり易く言えば、このようなファイナンスをおこなった会社の株主は、贅沢三昧の外資系社員のために、なけなしの資金で買った個人の貴重な財産を献上していたことになるのである。

昨年問題になったアーバンコーポレイションはまさしくこの仕組みである。さらに悪質だったのは、市場で倒産確実という見方が支配的な時に、このファイナンスを打ち、株価を一時的に回復させたことだ。その際のIRは、まさに資金手当てもできて、会社は大丈夫という記述になっていた。これは上記のスキームの発展版であるMSワラントというもので、一定期間行使されなければ資金すら入らないという仕組みだ。多数の投資家は見事に騙された。MSCBなら会社に金は入っているから倒産だけはない。しかし、アーバンには実際に資金が入らず、倒産に持ち込まれた。これほど株主を馬鹿にした前代未聞の詐欺事件を当局は放置しているのも事実なのだ。

金融経済評論家 松本弘樹「マネーゲームの罠」がスタート
http://outlaws.air-nifty.com/news/2008/12/post-6055.html
【第2回】弱者のファイナンススキームを悪用した輩(やから)たち(1)
http://outlaws.air-nifty.com/news/2008/12/post-456c.html
【第3回】弱者のファイナンススキームを悪用した輩(やから)たち KCS事件とディストリビューション(上)
http://outlaws.air-nifty.com/news/2008/12/post-6055-2.html
【第4回】弱者のファイナンススキームを悪用した輩(やから)たち KCS事件とディストリビューション(下)
http://outlaws.air-nifty.com/news/2008/12/post-6055-3.html
【第5回】弱者のファイナンススキームを悪用した輩(やから)たち 外資証券の功罪(上)
http://outlaws.air-nifty.com/news/2008/12/post-6055-4.html

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コメント

新興もMSCBひどいもんですが
日経225の双日もたいしたもんですよ。
MSCBやりまくり日本1の発行額。極端に高い社員の給与と株主虐待のひどさ。
当時社長の土橋昭夫の態度の悪さには唖然とした。株価は実質10円台。

松本さんバナーズの相談役辞任したんですね

バナーズ相談役辞任の経緯解りますか

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