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2005年8月22日 (月)

闇に葬られた「原町共栄クリーン」偽造株券事件

8月3日WEB速報版において、大井署の巡査部長(=当時)が、捜査対象になっていた「原町共栄クリーン」(福島県)の元役員から依頼を受け、2000年3月の捜査会議で立件しないことを決定。その見返りとして、現金150万円を受け取っていた、という収賄事件について伝えた。20050822002428

ある社会部記者によると、「すでに贈賄側(原町共栄クリーン)は時効になっている。当局の主眼は、あくまでも問題の不良警官を逮捕するところにあったようだ」という。しかし、今回の事件発覚によって、いわゆる「原町共栄クリーン」を巡る〝偽造株券事件〟は、警察内部で闇から闇に葬られていたことがハッキリした。

長年この事件を追ってきた筆者としては、一警官の収賄よりも、そちらの方がよほど重大な問題であると考える。そこで、この偽造株券事件について改めて振り返ってみたい。以下は、各種の公判資料などから時系列で事件を再構成したものである。

①91年8月19日 (株)「原町共栄クリーン」設立。Aが代表取締役、Kが取締役に就任し、発行済株式総数200株を折半で保有。
②92年11月6日 Kが代表に就き、Aが平取に降格(株保有率は以前のまま)
③93年9月頃 Kは発行済株式総数を超える同社株券300株を偽造し、これを担保に多額の資金を借り入れる。
④95年頃 Kは担保に差し入れた偽造株券が第3者に流通していることを知る。そのため、KはAが所持する真正株券100株を回収しなければ、発行済株式総数を超える株券が流通していることが判明し、ひいてはKの株券偽造が発覚するのではないかと思い、知人の暴力団組長にAが所持する真正株券100株の回収を依頼した。同暴力団組長はAに対して、「原町共栄クリーンを買いたいという企業があり、話をつけられそうなので、株券を見せて相手にこちらが株主であることを示したい。株券を預けて欲しい」などと持ちかけ、Aから真正株券100株を騙し取り、これをKに渡した。
⑤97年3月18日付で、Kは、Aが出席した上で取締役会が開催され、株式譲渡を承認する決議がなされたとする内容虚偽の取締役会議事録を偽造。また、同日付でKと中平明美氏との間で、原町共栄クリーン200株の譲渡契約が締結される。翌98年3月、同社に「産業廃棄物処理施設設置許可」が下りる。
⑥98年秋頃 Aは原町共栄クリーンの偽造株券が譲渡され、自分が取締役から外されていたことを知る。
⑦99年3月 西垣浩司氏がNEC社長に就任。
⑧同年6月10日付で、中平明美氏と旧高和(シンシア)の間で、Kから譲渡された200株を1億円で譲るとの旨の契約が締結された。
⑨同年7月1日開催の株主総会で原町共栄クリーンの授権資本を800株に変更を決議。その後、7月29日付で200株を増資。8月31日には中西雄三シンシア会長が原町共栄クリーンの取締役に就任。12月22日付で、さらに200株が増資された。
⑩同年7月初旬 Aは大井署・門田公孝巡査部長に一連の事件を相談。その後、同巡査部長を中心とする大井署知能犯係で捜査が進められる。12月4日、⑤にある取締役会議事録の偽造事件でKが大井署に逮捕される。しかし、12月24日、Kが処分保留のまま釈放され、12月31日にKは騙し取った真正株券100株をAに返還した。
⑪00年1月19日頃 Aは大井署に来署し門田巡査部長に、今度は株券偽造でKを告訴したい旨相談。
⑫00年1月 Aは、原町共栄クリーンを被告として、授権資本を800株に変更する定款変更決議をなした99年7月1日付株主総会決議不存在、および7月29日付200株の新株発行、12月22日付200株の新株発行無効確認訴訟を提起。さらに中西雄三会長など旧高和側役員の選任をなした00年3月31日付株主総会決議不存在およびAが100株の株主であることの確認訴訟を追加提起。
⑬00年2月 NEC本社前などで関本忠弘・元NEC会長を攻撃する「街宣事件」が発生。「全労共」(前橋市)なるエセ左翼団体は、Aの自宅にも街宣攻撃を仕掛けている。
⑭同年2月9日 門田巡査部長とKが上野駅前の喫茶店で会う。Kは、Aの告訴を受理しないように懇願した。また、A側の情報を教えてもらえるように依頼。Kから、多額の資金を得て産業廃棄物処理場の建設を進めていることを聞いた同巡査部長は、Kが金銭を供与するだろうと確信した。そして2月19日、同巡査部長はKから100万円を受領。その後、3月11日、4月5日、6月29日にもそれぞれ会い、100万円を受け取っている。
⑮同年3月下旬 大井署知能犯係内の捜査会議で、同巡査部長は「株券の流れも解明できません。こんなごたごたした事件はもうやりたくないですね。終結したらどうでしょうか」などと発言し、Kの依頼どおり、Aの告訴を受理せず事件を立件しない、という方針を決定させるなどの便宜を図った。
⑯同年3月31日 中西雄三会長が原町共栄クリーンの代表取締役に就任。
⑰同年6月 原町共栄クリーンは安全祈願祭を行って最終処分場建設工事を開始。工事は鹿島が担当。
⑱01年3月 予定地の18%を買い取った「産廃から命と環境を守る市民の会」が工事差し止めを求めて提訴。6月に福島地裁いわき支部が工事中止の仮処分命令。
⑲01年12月 シンシア、原町共栄クリーン全株を埼玉県の不動産会社に譲渡。
⑳02年4月 ⑫にある民事訴訟が、ほぼA側の全面勝訴に。

以上が、いわゆる「原町共栄クリーン偽造株券事件」の主な経過である。ここから様々な問題点が浮かび上がってくるが、今回は門田巡査部長の動きに絞って幾つか指摘しておきたい。

経過⑩にあるように、何故、Kは処分保留のまま釈放されたのか。釈放直後に、わざわざ同巡査部長は、KをAに引き合わせ示談の仲裁役まで買って出ている。そして、Kに株券を返還するよう説得しているのだ。〝民事不介入〟を旨とする警察がここまで普通やるだろうか。何とも不自然だ。何らかの理由で同巡査部長は事件を穏便に処理したい、と考えたのではないか。しかも、関係者の話によると、同巡査部長らは偽造株券が印刷された福島県内の印刷所まで捜査するなど、決して〝手抜き〟をしたとは思えない、というのだ。

そして、経過⑪~⑮である。同巡査部長の収賄容疑となったのは、00年6月29日受領100万円と01年1月10日受領50万円の計150万円だが、それ以外にも00年2月19日、3月11日、4月5日の3回に渡って100万円づつ、計300万円をKから受け取っている。前出の関係者によると、「Kがポケットマネーで出せるような額ではないし、出すような輩でもない。また、シノギのネタにしたんじゃないだろうか」という。Kは450万円もの金をどこから調達したのか。

しかも、奇妙な時系列の一致も見られる。大井署知能犯係内の捜査会議で、「偽造株券事件」を立件しないとの方針が決定された直後の00年3月31日、中西雄三シンシア会長は晴れて原町共栄クリーンの代表取締役に就任しているのである。これは単なる偶然なのか。

原町共栄クリーンの最終処分場建設工事がスタートした00年6月以降は、同巡査部長がKに連絡しても「上京する都合がつかない」などと言を左右にされ、しばらく金銭を授受することができなかったともいう。遊興費に窮した同巡査部長は翌01年1月に、やっとのことでKに50万円を銀行振込させている。実はこの銀行振込から同巡査部長は足がついているのである。

このように見てくると、果たして「原町共栄クリーン偽造株券事件」が門田巡査部長の一存だけで立件されなかったのか、あまりにも不可解な点が多すぎると言わざるを得ない。(取材・文 奥村順一)

【写真】「01年12月にシンシアが撤退した福島県原町市の最終処分場建設予定地、02年撮影」

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